今回はとてもチャレンジングなテーマに挑戦です。可能な限り数式を排除して、庭子ちゃん向けにわかりやすくChiaを説明してみたいと思います。
わ~、うれしいです!ちょっとディスられたような気もしますが、気にしません。よろしくお願いします!
まず最初にBitcoinの説明をしますね。ChiaはBitcoinの基本理念を多く受け継いでいます。まずはここから理解しましょう。
はい、Bitcoinは有名なので、なんとなく知っています。電力消費が多く問題になっていますね。
BitcoinなどのPoW系仮想通貨ではお題が出されて、それを大量のコンピュータに計算させて、一番はやく正解見つけた人にコイン報酬が渡されます。上記のようにハッシュ関数がよく使われて、「ハッシュ関数結果で先頭”0″が20個続く出力となる入力数値を探せ」などが一般的です。
ハッシュ関数とは何ですか?
ここでは簡単に一方通行の変換関数だと思ってください。入力から出力は簡単に計算できますが、出力からそれを作り出した入力数値を探り当てるのは難しく、総当たりで関数にいろんな数字を入れてみる事になります。いずれハッシュ関数も説明しますね。
はい、お願いします。ここではそういうものだと思っておきます。
Bitcoinではお題が出されたら、大量のコンピュータが総当たりで正解(ハッシュ関数の入力数値)を探し始めます。なので莫大な電力が必要となります。そして、コンピュータと電力を使いまくって、苦労して手に入れた正解をPoW(Proof of Work)として取引に組み込みます。この一連の取引台帳をブロックチェーンといいます。
ブロックチェーン、はやりの言葉ですね。でも良くわかってませんでした。
ここでは署名(サインのようなもの)で結びつけた一連の取引台帳だと思ってください。悪いことされないためにPoW(苦労して手に入れた当たり番号)を埋め込むのがみそです。
悪い人が台帳(ブロックチェーン)を改ざんしようとしても、改ざん側でも莫大な計算能力が必要とされ、世界中のコンピュータの半分以上(51%)が正義側にいれば、悪は勝てないという論理です。
ものすごい武闘派ですね。計算能力至上主義のガチンコ勝負に見えます。
まさにその通りでしょう。アルゴリズム的にはとてもシンプルで美しく見えますが、莫大な電力消費に繋がっていいます。悪側が51%とったらどうするのか?など課題もあります。とはいえこの武闘派的シンプルさが、今でも人気の理由なのかも知れません。
Bitcoinが電力使いすぎるアンチテーゼとして、ChiaではPoW(Proof of Work)ではなく、PoST(Proof of Space and Time)を採用しました。Bitcoinではマイニング(採掘)といいますが、Chiaではもっと穏やかにファーミング(農耕)するといいます。
SSDがクワで、畑であるHDDを耕して、宝くじ番号を書き付けていくイメージです。SSDが消耗品インクカートリッジで、紙であるHDDに宝くじを印刷していくイメージとも言えます。
なんとなくイメージできました。
Bitcoinでは当たりをコンピューターが計算してさがしますが、Chiaではあらかじめ大量の宝くじ番号をストレージに書き付けておいて、当選番号が発表されたらそれに近い番号から当選となります。ストレージはほぼ置いてあるだけで良く、ほとんど電力を消費しないのでBitcoinに比べてエコだとなっています。当選数はNetspace(接続されたストレージ総量)の数パーセントになるようです。Netspaceが増大する場合にはその比率で自分のストレージも増やさないと勝利比率が追いつきません。
最近、Netspace増大が急激なので、特に厳しいですね・・・
Bitcoinでは莫大な計算能力で速くブロックチェーン(取引台帳)を成長させた方が勝ちでした。Chiaでは良い品質の当たり数値(より当選番号に近い数値が品質高くなります)をもったブロックチェーンがかちます。自然とストレージを多く持っている陣営が有利となりますね。これがProof of Space、PoSです。
PoWにかわってPoSが導入されたのですね!でもChiaはPoSTだったと・・・
はい。PoSだけでは不十分な理由があります。
計算機パワーふんだんに使って、圧縮技術や、当選番号数増しなどでストレージ容量増大を肩代わりする悪いやつがでてくる可能性あります。なのでProof of Time, PoTが導入されました。絶対に時間のかかる処理をいれて、計算する時間、なんども攻撃するチャンスを無くしてしまおう、というアイデアです。Proof of StakeなどProof of Work以外のシステムでは良く使われます。VDFという関数が一般的のようです。
ちなみにGreen Paperでは、下記の図で説明されています。VDFの研究状況はここ(日本語)、とここ(英語)にまとめられています。まだまだホットな研究段階で、イーサリアム財団が研究開発費に1,500万ドル必要と見積もり、Chiaも、合計10万ドルの参加者報酬を割り当てた第1ラウンドのサーキットコンペティションを完了し、第2ラウンドに向けた準備を進めているようです。
師匠~、いきなり難しくなりました・・・
ごめん、ごめん。ここでは簡単にProof of Timeは悪いやつ対策で、時間のかかる処理を入れていると理解していてくれれば十分です。
了解です~
Proof of SpaceとProof of Timeは交互に行われます。よく考えられているのですが、苦労してProof of Time:VDFを入れているようにも見えて、あらためてBitcoin、Proof of Workのシンプルな美しさを感じます。電力馬鹿食いのデメリットも大きいのですが・・・
それぞれ一長一短あって、何がいいのか?というのは難しそうですね。
あと、ここまでの説明ってマイニングやファーミングで、何かやってコインを貰うってところですよね? これがどう通貨につながるのかわかりません。
よい質問ですね。「その何かやって」といのがProof(証拠)だと覚えておいてください。次に行きます。
庭子ちゃんは本物のお金と子供銀行券の違いわかりますか?
お店で使えるのが本物のお金、使えない遊びなのが子供銀行券の理解です。
なぜ本物のお金が使えるのかというと、威信を持った国が発行して、悪いことは取り締まってくれるからですね。通貨としての信用があるのです。
リアル通貨でいう”国家”の代わりに、BitcoinではProof of Workを、Chiaでは Proof of Space and Timeを権威・信用の礎としました。
おー、そこにPoW, PoSTが繋がるのですね。莫大な計算量、莫大なストレージが通貨を支える信用の元になるとは、すごく壮大ですね・・・
とはいえ、BitcoinもChiaも至る所どこでもで使えるわけではありません。なので、まだ通貨としては成功していません。今のbitcoinは、昔で茶器やチューリップと同等の投機資産という扱いだと思います。将来、本当の通貨になると面白いですね!楽しみにみていましょう。
本当ですね。なんとなく理解できてきました。ありがとうございます~
今回はChia社のFAQとGreenPaper(技術論文)を参考にしました。庭子ちゃんも技術論文読んでみますか?
師匠、いじわるですぅ。菜園にお水あげてきます・・・
間違い・コメントあればtwitterにお願いします。